【書評】amazon 世界最先端の戦略がわかる

Amazonは我々の生活にもはやなくてはならない存在のプラットフォーマーである。
そのAmazonという会社の全貌がこの一冊に見事にまとまっている。
今までAmazonに対して「粒々」の理解があった読者はこれを読むことで「線」となる感覚を覚えるだろう。

ベゾスという創業者の圧倒的なビジネス戦略はもちろん目を見張るものがある。しかしながら、Amazonの各サービスがそれぞれ独立的で、それぞれの責任者がやりたいようにやり、それが結果として奏功している点も興味深い。

著者いわくベゾス自身がもはや把握出来ないのでは、と言われるこの巨大なスケールを持つAmazon、これからもますます見逃せない。

【書評】社長失格

社長失格 板倉 雄一郎 (著)

読み終わった後は、なんとも悲しい気持ちになった。

若くして会社を起こし、初めの調子の良さから一転し、
後半は急降下していく様子が赤裸々に語られている。

著者の抜群のアイデアと実行力から会社を初めは
急成長させることは出来たものの、
サービスを強固に維持し続けられるための、
・現場の開発プロセス、優秀な人材
・社長の補佐役
がなくてはならない事を痛感した。

著名な夏野剛氏や、ビルゲイツ氏の登場もあり、
物語にのめり込むことが出来た。

著者がビルゲイツにはしたたかにやられてしまったのも、
ビジネスにおけるシビアさを垣間見る思いがした。

【書評】ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか ピーター・ティール (著), ブレイク・マスターズ (著), 関 美和 (翻訳), 瀧本 哲史 (その他)

ゼロ・トゥ・ワンは、新しい何かを創造する企業をどう立ち上げるかについて書いた本である。
起業を目指す人にとって押さえておくべき法則がティールによって提言されている。

印象的だったのが、
1. 小さな違いを追いかけるより大胆に賭けた方がいい(大きな賭けをしろ)
2. 出来の悪い計画でも、ないよりはいい(成功するための計画を持て)
3. 競争の激しい市場では収益が損失する(競争するな)
4. 販売は製品と同じくらい大切だ(製品が良ければいいと思うな)
の点である。

特に、3については、競争は行ってはならず、コモディティ化されない、差別化されたビジネスを行い、永続的な価値を企業は創造していくべきだと説く。
競争環境では、大した差別化も生まれず、誰も得をしないからだ。

他の会社ができない大切なことを、自分の会社だけがいかに持つかが重要である。
それは「皆んなが気づかない重要な真実は何ですか?」という問いに答えられる必要があり、その上で、10年先の未来の具体的なイメージを描けないと起業は厳しいと感じた。

そして
・会社は、創業者という非凡な人物が会社を導き、社員の皆んなからは最高の力を引き出さなければならない
・創業者は自分の神話を信じこみ、本当の自分を見失ってはいけない
という指摘も考えさせられる。

ちなみに、本書の中で引き合いに出されたGoogleの事例は、面白かった。

【書評】Think Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学

Think Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学 ケン・ シーガル (著), 高橋 則明 (翻訳), 林 信行 (監修)

Think Simple.
タイトルからは、どんなストーリーが語られるのか想像しがたい印象をはじめに持った。
読み進めると、Appleがとてつもなく「シンプル」である事を主張している本だ。
しかもその「シンプル」というのは、終始一貫している。
どこまでも「シンプル」な企業である事を改めて振り返り、思った。

本書の筆者はケン・シーゲルという、
広告代理店のクリエイティヴディレクターである。
アップルの『i』の革命を生み出すきっかけとなった『iMac』の名付け親である。

そのケン・シーゲルが、Steve Jobsと共に仕事をし、その時の
Steveのキャラ、言動や仕事のスタイルをリアルに描写している。

  • 会議は重要な人だけを少人数で、短時間で進める事。不要な人は容赦なく出てもらう(!)
  • 法的な問題が起ころうとも、iPhoneのネーミングを貫き通した事
  • ミスに気づけば、それを認め、イノベーションのほかの面をどんどん進める事(マウスの話)
  • 初代のiPodの音楽プレイヤーの事を、シンプルに「1000曲をポケットに」と言い表してしまう事
    などなど、そこには一切の「複雑性」や「妥協」は存在しない。

ただひたすら、Steveが目指す理想に突き進むその姿勢は、世の中の大半の大企業にはそう真似できるものではないだろう。
(実際にDellなどがそうである事を示されている)

人々がいずれその選択を選ぶ。
そうSteveは心から信じ、それに合わせてプロダクトを「シンプル」に作り上げる。

そんなSteveに、「シンプル」に考えることの大切さを改めて学んだ。