【書評】社長失格

社長失格 板倉 雄一郎 (著)

読み終わった後は、なんとも悲しい気持ちになった。

若くして会社を起こし、初めの調子の良さから一転し、
後半は急降下していく様子が赤裸々に語られている。

著者の抜群のアイデアと実行力から会社を初めは
急成長させることは出来たものの、
サービスを強固に維持し続けられるための、
・現場の開発プロセス、優秀な人材
・社長の補佐役
がなくてはならない事を痛感した。

著名な夏野剛氏や、ビルゲイツ氏の登場もあり、
物語にのめり込むことが出来た。

著者がビルゲイツにはしたたかにやられてしまったのも、
ビジネスにおけるシビアさを垣間見る思いがした。

【書評】ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか ピーター・ティール (著), ブレイク・マスターズ (著), 関 美和 (翻訳), 瀧本 哲史 (その他)

ゼロ・トゥ・ワンは、新しい何かを創造する企業をどう立ち上げるかについて書いた本である。
起業を目指す人にとって押さえておくべき法則がティールによって提言されている。

印象的だったのが、
1. 小さな違いを追いかけるより大胆に賭けた方がいい(大きな賭けをしろ)
2. 出来の悪い計画でも、ないよりはいい(成功するための計画を持て)
3. 競争の激しい市場では収益が損失する(競争するな)
4. 販売は製品と同じくらい大切だ(製品が良ければいいと思うな)
の点である。

特に、3については、競争は行ってはならず、コモディティ化されない、差別化されたビジネスを行い、永続的な価値を企業は創造していくべきだと説く。
競争環境では、大した差別化も生まれず、誰も得をしないからだ。

他の会社ができない大切なことを、自分の会社だけがいかに持つかが重要である。
それは「皆んなが気づかない重要な真実は何ですか?」という問いに答えられる必要があり、その上で、10年先の未来の具体的なイメージを描けないと起業は厳しいと感じた。

そして
・会社は、創業者という非凡な人物が会社を導き、社員の皆んなからは最高の力を引き出さなければならない
・創業者は自分の神話を信じこみ、本当の自分を見失ってはいけない
という指摘も考えさせられる。

ちなみに、本書の中で引き合いに出されたGoogleの事例は、面白かった。

【書評】Think Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学

Think Simple ―アップルを生みだす熱狂的哲学 ケン・ シーガル (著), 高橋 則明 (翻訳), 林 信行 (監修)

Think Simple.
タイトルからは、どんなストーリーが語られるのか想像しがたい印象をはじめに持った。
読み進めると、Appleがとてつもなく「シンプル」である事を主張している本だ。
しかもその「シンプル」というのは、終始一貫している。
どこまでも「シンプル」な企業である事を改めて振り返り、思った。

本書の筆者はケン・シーゲルという、
広告代理店のクリエイティヴディレクターである。
アップルの『i』の革命を生み出すきっかけとなった『iMac』の名付け親である。

そのケン・シーゲルが、Steve Jobsと共に仕事をし、その時の
Steveのキャラ、言動や仕事のスタイルをリアルに描写している。

  • 会議は重要な人だけを少人数で、短時間で進める事。不要な人は容赦なく出てもらう(!)
  • 法的な問題が起ころうとも、iPhoneのネーミングを貫き通した事
  • ミスに気づけば、それを認め、イノベーションのほかの面をどんどん進める事(マウスの話)
  • 初代のiPodの音楽プレイヤーの事を、シンプルに「1000曲をポケットに」と言い表してしまう事
    などなど、そこには一切の「複雑性」や「妥協」は存在しない。

ただひたすら、Steveが目指す理想に突き進むその姿勢は、世の中の大半の大企業にはそう真似できるものではないだろう。
(実際にDellなどがそうである事を示されている)

人々がいずれその選択を選ぶ。
そうSteveは心から信じ、それに合わせてプロダクトを「シンプル」に作り上げる。

そんなSteveに、「シンプル」に考えることの大切さを改めて学んだ。

【書評】ITシステムの罠31

ITシステムの罠31 – A.T. Kearney 安茂 義洋 (著), 栗谷 仁 (著)

システム開発の失敗あるあるネタ満載である。

システム開発をやっていれば必ず遭遇するであろう失敗に対する、
経営者、事業担当、開発担当の3者それぞれの対策を提言されているため、
ITシステムに携わる様々な立場の人に、大いに参考になるのではと思う。

システム開発に携わる人のバイブルと言って過言ではないだろう。
それも特にビギナーの人にとっては始めに読んでおきたい本である。
プロジェクトマネジメント系の教科書よりは、余程実用的であり、腹に落ちやすい。

肝に銘じるべき著者のメッセージを引用する。

いつまでに何が必要なのか、それはなぜか?といった目的設定がされないまま、システム開発が進められることがままある。これでは開発自体は迷走するし、作られたものはユーザーに使われないか、使われても経営の役には立たない。

目的は、具体的な業績管理指標として表現することができる。売上増加やコスト削減といった財務指標にこだわる必要はない。納期短縮、顧客満足度向上など、より中間的なオペレーション指標を目標にすることも可能だ。

大切なのは、経営層・ユーザー部門・システム部門間の共通言語として機能することである。また、ビジネスとしての価値が明確であることだ。システム構築自体が目的化するようなことがあってはならない。